研究概要 |
後縦靭帯骨化症(OPLL)の病因解明のために,われわれはOPLLの家系調査、染色体分析,遺伝マ-カ-としての血液型、血清型、および双生児調査などを行い、OPLLに関する遺伝子的研究を試みてきた。これらの成果をふまえ、OPLLの遺伝性、遺伝機構、遺伝子座位の確定を行い、これにもとづいてOPLLのDNA診断を試みる。 3世代にわたり,OPLLが存在する家系を捜すために,まず本学整形外科にて入院加療を行ったOPLL患者63名に対して郵送による家族構成についての調査を行った。回答の得られた者は57名であり,このうち3世代に亘って生存者があり,かつ最も若い世代の中に30才を越えるものが存在するのは6家系であった。X線検査および血液検査に協力が得られたのは未だ1家系のみで,現在までに発端者の両親,同胞5名中5名,子供2名中1名の計8名について検査し,発端者の父および同胞1名に頸椎OPLLの変化が認められた。遺伝マ-カ-としてABO,MN,Rh,P,Lewis,Duffy,Kidd,Gm,Km,GC,PI,TF,HP,ESD,ACP_1,PGM_1の16種の血液型,血清および赤血球酵素型について検討している。最も若い世代が20才に達したものは7家系で、現在まで4家系12名についてX線検査し5名にOPLLが見つかった。しかし3世代に亘りOPLLの存在する家系は見つかっていない。なお、OPLL患者5名について高精度分染法による染色体分析を行ったところ1例に染色体異常(46XY,inu(9);短腕11バンド領域,長腕13バンド領域)が認められたが、この異常は正常変異とされている。今後症例数を増やし,各種検査を集積しながら精度を高めてゆく。
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