研究概要 |
後縦靭帯骨化症(OPLL)は、疾患自体が晩発性であり、本研究に適する三世代の調査は極めて不可能に近い。本研究を完成するには長期的計画が必要である。これらの点を考慮しOPLLの発端者の(1)全同胞(第二世代)(2)両親(第一世代)(3)全同胞の子供(第三世代)について漏れなく調査し今後これらの該当家系全員について逐年的にOPLLを調査し三世代の個体がすべてOPLL発症年齢を過ぎた時点でOPLLのDNA診断が可能なように血液を保管することが必要である 現在家系調査は二世代可能なものは6家系、このうち未発症年齢群を有する三世代家系調査可能なものは1家系で、これらの家系については今後逐年的に調査研究を進める予定である。 本研究では、OPLLを支配する遺伝子座の決定について(1)OPLL血液型、血清型、赤血球酵素型の16種(ABO,MN,Rh,P,Lewis,Duffy,Kidd,Gm,Km,GC,P_1,TF,HP,ESD,ACP_1,PGM_1),(2)OPLLと染色体分析、について調査を試みている。本年度の調査資料からOPLLと上記(1)の16種のうち14種について関連分析を試みたところ、Lewisでは自由度=2、x^2=6、5433、P=0.05〜0.025で有意な関連がみられた。従って連鎖分析のマ-カ-としては不適当ではないかと考えている。この点も今後さらに検討したい。(2)の染色体分析によって5個体に核型分析を行った。1個体で染色体異常(46XY,inv.(9),短腕11バンド領域、長腕13バンド領域)が認められたが、これは正常変異でありOPLLとは無関係であった。しかし核型分析はOPLLの遺伝子座決定に有効な方法と考えられ、今後もさらに例数を増やして検討する予定である。
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