研究概要 |
本研究目的は後縦靭帯骨化症(OPLL)の遺伝子座位決定とDNA診断にある。これらの研究方法として、(1)完全浸透の単純遺伝形質とOPLLの遺伝子の連鎖解析、(2)OPLL患者の染色体検査から染色体異常型を見いだし、OPLLの遺伝子座を決定しようとするものである。 完全浸透の単純遺伝形質とOPLLの連鎖解析としては、OPLLを発端者とした11家系について、遺伝マーカーとして、(1)赤血球型7種類(ABO型,MN型,Rh型,Lewis型,P型,Kidd型,Duffy型),(2)血清型6種類(Gm型,Km型,GC型,PI型,TF型,HP型)、(3)赤血球酵素型3種類(ESD型,ACP1型,PGM1型)の検査を行い、分析可能な調査を試みた。 2世代調査は9家系、3世代調査は1家系に行った。連鎖分析を行うためには最低限3世代にわたるOPLL発症者の家系が必要であるが、残念ながら今回の調査家系にはかような家系は含まれておらず、連鎖解析は出来なかった。2世代間にOPLL患者を有したのは2家系3系列であり、上記16種の遺伝マーカーの内、患者間の一致を見たのはABO型,Duffy型,Lewis型,PI型,TF型,HP型の6種であった。現在では連鎖は見出し得ないが、逐年的にこれらの家系を調べ3世代目にOPLL患者が出現すれば連鎖分析は可能となるであろう。 一方、OPLL患者の染色体検査では正常変異が1例に見られたに過ぎず、OPllに特異的な染色体異常は見出せなかった。 本研究は晩発性疾患について、遺伝子座を決定する方法論としては貴重なモデルとなると思われるが、長期に亘り、多大の労力を要する研究と考える。
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