研究概要 |
(目的)破骨細胞の起源については未だ諸説あるが、いずれの説においても最初の破骨細胞が出現する軟骨内骨化初期における軟骨原基周囲の骨膜内のin vivo,in situでの破骨細胞の形成過程や骨芽細胞との相関が形態学的には未だ明かとされておらず、この点を解明すべく研究を行った。 (研究方法)1.昨年度の実験方法に準じて実験を行った後、酒石酸耐性酸フォスターゼ(TRAP)反応を行い、これをマーカーに破骨細胞の前駆細胞を昨年同様追求した。2.昨年同様、胎生17日のC3Hマウスの中足骨骨軟原基を取り出し、コラゲナーゼ処理後、培養骨芽細胞様細胞(KUSA)と共に共存培養を試みた。 (成果)1では,TRAPを指標に多核及び単核の破骨細胞とその前駆細胞を追求した。破骨細胞並びに前破骨細胞においてTRAP陽性の小胞やリゾゾームの他に管腔の狭小化した粗面小胞体が認められ、これもマーカーとして利用した。その結果最も幼弱な前駆細胞は核・細胞比が大きく、核は明るく胞体には比較的小数のミトコンドリア、TRAP陽性のリゾゾームが存在した。この幼弱な前駆細胞は、文献的に諸家が記載している未分化のperivascular cellの電顕像と類似しており、血液幹細胞、単芽球、前単球、単球、などの血液系細胞の電顕像との類似点はみられず、破骨細胞の局所由来説を支持する所見であると考えた。第11回国際カルシウムホルモン会議で発表したが、世界の主流である血液幹細胞由来説を覆すには至らなかった。その後、結果を英文論文にまとめ、本年1月International Orthopedicsに投稿した所である。2の共存培養は再三実験を試みているが、うまく共存培養が出来ず、期待する成果が得られていない。 過去十数年来の成果をまとめて本年10月日本整形外科学学会基礎学術集会において、教育講演を行うこととなった。
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