研究分担者 |
吉沢 由利子 自治医科大学, 医学部
中井川 泰 自治医科大学, 医学部, 助手
石井 良介 自治医科大学, 医学部, 助手 (50222956)
赤澤 訓 自治医科大学, 医学部, 講師 (10184079)
粕田 晴之 自治医科大学, 医学部, 講師 (20090590)
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研究概要 |
アデノシンおよびMg^<2+>の心機能,冠血流および心筋代謝におよぼす効果について研究した。イヌ14頭を7頭ずつの2群分け、1つの群にはアデノシンを0.1,0.3,0.5および1.0mg/kg/minの速度で投与し、別の群にはMgSO_4を60,90,120mg/kgをbolus投与した。アデノシンでは血圧は用量依存性に低下し、心拍数は0.5および1.0mg/kg/minで有意に減少した。心拍出量および1回拍出量は用量依存性に増加した。左室1回仕事量は用量依存性に減少した。左室の収縮および弛緩機能は0.5および1.0mg/kg/minで有意に減弱した。冠潅流圧は用量依存性に低下したが、冠血流量は用量依存性に増加し、冠血管抵抗は用量依存性に減少した。心拍出量に対する冠血流量の比は用量依存性に増加した。心筋酸素消費量および心筋酸素利用率(0_2 extraction ratio)には減少傾向がみられた。MgSO_4では血圧は用量依存性に低下し、心拍数は用量依存性に減少した。心拍出量は60mg/kgでは有意に増加したが、90および120mg/kgでは対照値に対して有意な変化を示さなかった。しかし、1回拍出量は用量依存性に増加した。体血管抵抗および左室仕事量は60,90および120mg/kgで有意に減少した。左室の収縮および弛緩機能は用量依存性に減弱した。冠潅流圧は用量依存性に低下した。冠血流量は60,90および120mg/kgで増加傾向を示し、冠血管抵抗は60,90および120mg/kgで有意に減少した。心拍出量に対する冠血流量の比には有意な変化はみられなかった。心筋酸素消費量および心筋酸素利用率は90および120mg/kgで有意に減少し、心筋乳酸利用率は120mg/kg投与時のみ有意に減少した。以上のことから、アデノシンおよびMg^<2+>のいずれも心臓の負荷を軽減させ、心筋の代謝を適度に抑制させるにもかかわらず、冠血流量をむしろ増加させることが判明した。
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