研究課題/領域番号 |
02454373
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
林 暁 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60180965)
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研究分担者 |
畠 亮 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40051586)
斉藤 史郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80170504)
馬場 志郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00051889)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | 腎細胞癌 / 染色体 / G分染法 / 移行上皮癌 / H-ras癌遺伝子 / 点突然変異 |
研究概要 |
本研究は腎悪性腫瘍患者から得られる腫瘍組織を材料として、分子生物学的手法により腫瘍発生・増殖の機序を解明することを目的に始められた。初年度は外科手術により摘出された腎細胞癌の8腫瘍につきG分染法によって染色体分析を行った。その結果、数の異常では#3と、#7染色体の異常発現頻度が高いこと、さらに構造異常では、出現頻度は低いものの、#2と#6の長腕異常の存在を確認できた。 平成3年度には染色体分析を行った8腫瘍からDNAを抽出し、各種癌遺伝子の増幅を検討したが、有意と思われる異常所見は得られなかった。一方、同時平行して行ってきた、おなじ泌尿器系悪性腫瘍の一つである膀胱移行上皮癌において、酵素的遺伝子増幅法(PCR)をもちいたH-ras遺伝子断片の増幅と、遺伝子点突然変異の検出に成功した。したがって以後は検査対象の軌道修正をして分子生物学的研究を続行した。その結果、50例中2例(4%)にコドン12の点突然変異を見出だした。H-ras癌遺伝子のコドン12を含むDNA断片をPCRで増幅したあと制限酵素で切り、その反応の差による点突変異をオリゴヌクレオチドプローブを用いたドッドハイブリダイゼーションで確認するというわれわれ独自の方法を開発した。点突然変異の陽性例は4%と低い数値であったが、陽性例にかぎっては再現性が高く、新鮮材料、凍結材料、尿中脱落細胞、パラフィン固定標本のいずれにおいても検出可能であった。このことは悪性腫瘍診断のスクリーニングとしては不適当であるが、陽性例の術後のフォローアップには有力な武器となる。とくに尿中脱落細胞は患者にとって全く苦痛なく、反復して採取できるという利点は大きい。最終年度は、これまでに得られた結果の補強実験をするのにとどめ、新たな実験は行わず、報告書作製を意図して研究成果の学会発表、医学専門雑誌への投稿をめざした。
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