研究概要 |
ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)のβ鎖をコ-ドする遺伝子DNAをM13ファ-ジに挿入し、大腸菌株JM109に感染させることにより一本鎖のDNAを得た。この一本鎖DNAを鋳型とし、システイン・コドン(TGTあるいはTGC)をアラニン・コドン(GCTあるいはGCC)に変換した27塩基の合成ヌクレオチドを結合させ、二本鎖DNAを合成した。ウラシル選別法によりシステイン変異DNAを選択した。この方法によりFSHβは、アミノ酸番号17,20,66,104,17166,20/104のシステイン変異DNAを作製することに成功した。この変異DNA断片を分離・精製後、発現ベクタ-に挿入した。変異FSHβ断片を含むベクタ-を大量に調製後、チャイニ-ズ・ハムスタ-卵巣(CHO)細胞に導入した。この際、β鎖DNA単独と同時に、非変異の鎖DNAもβ鎖DNAと共に導入した。CHO細胞株よりβ鎖およびの・β岡鎖を合成分泌する株を、^<35>Sーシステインの取り込み実験および免疫学的沈澱法により選別した。以上の実験により、FSHβ鎖システイン変異6種類を得た。そこで前年度に作製した黄体化ホルモン(LH)β鎖のシステイン変異株とFSHβ変異株を用いて、ホルモン分泌速度に対するSーS結合の意義を検討した。その結果LHβ鎖におけるシステイン26/110間のSーS結合はヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)と同様、分泌速度を増加させたが、FSHβ鎖(20/104)ではその増加が認められず、 LH,hCGとは異なる役割である可能性が考えられた。現在そのシ-クエンスを確認中である。
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