研究課題/領域番号 |
02454385
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塚本 直樹 九州大学, 医学部, 助教授 (30038830)
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研究分担者 |
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
前田 博敬 九州大学, 医学部, 講師 (20199631)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
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キーワード | Nonーimmunologic hydrops fetalis / Hypoplastic lung / Surfactant apoprotein / Radial alveolar count / Immunohistochemistry / Lung development / Lung maturation |
研究概要 |
前年度に行ったヒト胎児肺の発達過程の検討によって、肺胞と間質の発育・成熟過程は異なる可能性が示唆された。そこで、本年度は正常胎児における生理的な肺胞と間質双方の発育・成熟の制御機構を、1)病理形態:肺の発達過程、2)細胞生物学:肺胞上皮細胞および肺線維芽細胞の増殖制御機構の2点から検討することにより、肺低形成の発症過程を明らかにすることを目的とした。対象は肺低形成のない妊娠18ー41週の胎児30例とした。 1)肺の発達過程の検討は、肺胞の発達の指標として呼吸細気管支から中隔・胸膜への垂線上の肺胞数を計測するRadial alveolar count(RAC)、肺間質の発達の指標としてRACの設定線上に占める肺間質の割合を用いた。RACは妊娠26ー30、31ー35、36週以降で、各々2.8±0.33、3.3±0.29、4.3±0.62(mean±SD)と妊娠36週以降に有意に増加した。組織学的肺間質の割合は、各々54.9±4.9%、56.9±4.5%、44.3±6.9%、22.1±3.0%と、妊娠31週以降有意に減少した。以上より、肺胞数の増加に先行して、肺間質が減少することが明らかになり、肺胞と間質は発達・成熟過程において異なる制御を受けている可能性が示唆された。 2)肺胞上皮細胞および肺線維芽細胞の増殖制御機構の検討は、胎児血清が各々の増殖能に及ぼす影響を ^3Hーthymidine取り込み能を用いて検討した。肺胞上皮細胞および肺線維芽細胞はマウス胎仔20日目の肺組織から分離培養した。肺胞上皮細胞への ^3Hーthymidine取り込み能は、妊娠24ー27週、28ー31週、32ー35週、36週以降で、各々34839±2823、41546±85、40501±1922、40469±2741cpm/wellと妊娠28週以降に有意に増加した。線維芽細胞では、各々136891±5809、134630±14362、137063±5764、124744±14336cpm/wellと有意差を認めなかった。以上より、正常ヒト胎児血清による肺胞および間質の発育・発達の制御機構は異なる可能性が示唆された。
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