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1990 年度 実績報告書

女性性器の複合糖質の総合的解析ー内分泌環境と癌化に伴う変化を中心としてー

研究課題

研究課題/領域番号 02454389
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

野澤 志朗  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)

研究分担者 進 伸幸  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90206459)
高松 潔  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30206875)
キーワード糖脂質 / 胎盤 / 子宮体内膜 / ハイドロキシ脂脂酸 / シアリルパラグロボシド / スルファチド / モノクロ-ナル抗体MSNー1
研究概要

複合糖質は細胞相互の認識やレセプタ-としての機能を有し、癌化に伴いその糖鎖構造が変化することが知られている。本研究では女性性器を対象として、内分泌環境の変化と複合糖質の関係を解明することを目的とし、本年度は以下のような新たな知見を得た。1.胎盤絨毛の妊娠経過に伴う糖脂質の変化は、酸性糖脂質で興味ある結果が得られた。即ち胎盤絨毛の主要な酸性糖脂質は、GM_3とそれよりも移動度の小さい糖脂質が薄層クロマトグラフィ-(TLC)上で検出され、セラミド部分にハイドロキシ脂脂酸を含むII型糖鎖であるシアリルパラグロボシドであることが判明した。2.子宮体内膜の糖脂質を解析したところ、中性糖脂質はグロボ系列であるCMH,CDH,CTH,globosideが検出された。分泌期内膜には通常の糖脂質よりも分子量が増加し、セラミドを構成する脂肪酸及びスフィンゴシンがそれぞれ水酸化されたハイドロキシ脂肪酸またはフィトスフィンゴシンよりなるCMH,CDH,CTHが存在することが確認された。酸性糖脂質には硫酸基を持つスルファチドが存在し、増殖期内膜に比べ分泌期内膜において顕著に増加することが判明した。3.我々が作製したモノクロ-ナル抗体MSNー1は中性糖脂質上のルイスb関連糖鎖を認識し、その認識抗原の局在が子宮体内膜の癌化に伴い増加することに注目し、体癌の新たな補助診断法の確立を試みた。体内膜細胞を蛍光抗体法により染色し、フロ-サイトメトリ-を用いMSNー1陽性細胞を測定することにより、正常細胞と癌細胞との鑑別の可能性を検討したところ、正常細胞と癌細胞において反応性の差が認められた。更に体内膜細胞より糖脂質のみを抽出し、TLC上で免疫染色を行ったところ、正常細胞の糖脂質とは殆ど反応せず、体癌細胞の糖脂質とは明らかに染色される症例が多かった。以上のことより、両方法は正常内膜細胞と体癌細胞の鑑別に有用な指標となる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 野澤 志朗: "糖鎖抗原系のマ-カ-" 産科と婦人科. 57(3). 379-391 (1990)

  • [文献書誌] shiro Nozawa: "Cancerーassociated Galactosyltransferase as a new tumor marker for ovarian clear cell carcinoma" Cancer Research. 50(3). 754-759 (1990)

  • [文献書誌] 塚崎 克己: "子宮体癌における血液型抗原の発現異常" 病理と臨床. 8(7). 943-951 (1990)

  • [文献書誌] 野澤 志朗: "腫瘍マ-カ-の基礎と臨床ー婦人科領域の腺癌を中心にー" 病理と臨床,臨時増刊. 8. 321-335 (1990)

  • [文献書誌] 野澤 志朗: "子宮体癌補助診断の二,三の工夫" 日本臨床細胞学会東京都支部会報. 8(1). 5-7 (1990)

  • [文献書誌] 野澤 志朗: "子宮内膜と胎盤の糖脂質分析" 産婦人科の世界. 43(1). 31-38 (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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