研究概要 |
1.DMBAによる子宮内膜癌の誘発 SーD系メスラット(6週会)を去勢し,子宮の一側にDMBA添加絹糸を挿入し,他側に対照絹糸をおき子宮内膜癌の誘発を試みた。誘発率は約20%であり,内膜腺組織の細胞異型,構造異型が観察された。同組織と対照子宮組織を採取後直ちに凍結し,薄切の後エストロゲンおよびプロゲステロンレセプタ-(ER,PR)を酵素抗体法で染色した。対照子宮においてはER,PRの染色はきわめて不良で,腺管の上皮細胞にわずかにER陽性の所見を得た。しかしPRは陰性であった。ついで誘発癌組織のER,PR染色を行ったところ,誘発癌組織の腺管上皮にER陽性所見が認められたが,同一子宮内に陰性腺管も半数程存在していたことからERの分布が必ずしも均一でないことが示された。また近接する切片においてPRを検討したがER陽性腺管が必ずしもPR陽性を示すとは限らず,その規則性は乏しかった。 これらの子宮組織はホモゲナイズし,800g20分間の遠沈で得られたpelletをnuclear fractionとし,105000g60分間の遠沈上清をcutosol fractionとしてER,PRを測定した。正常子宮組織のERCは20fmol/mgP,PRCは16fmol/mgPであり,内膜癌発生子宮のERCは23fmol/mgP,PR19fmol/mgPであった。しかし両前に有意差は認められなかった(n=5)
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