研究概要 |
1.ラット子宮内膜癌誘発に関するステロイドホルモンの影響 S-D系メスラット(60周令)を去勢し,子宮の一側にDMBA糸を挿入し子宮内膜癌を誘発した。その際Estradiol(E),Progesterone(P)を挿入直後より種々の濃度で投与し誘発率の差異を検討した。オイル対照群の誘発率は20%,E1μg(E1):25%,E10μg(E10):25%,P-0.1mg:20%,P-1mg(P-1):15%,E1+P1:15%と各群の発生率に有意差はみられなかった。 2.ラット子宮内膜癌組織のエストロゲンおよびプロゲステロンレセプター(ER,PR)について 誘発内膜癌組織のER,PRについて酵素抗体法,DCC法,SDG法などにより検討した。対照子宮のER,PR値はE投与により上昇,P投与によりやゝ上昇傾向を認めたがE+P投与ではほゞ不変であった。内膜癌組織は,E投与によりER,PRとも有意上昇,P投与では不変E+P投与ではPRのみ有意の上昇をみた。ERの局在は腺管上及に著明であったが間質にも存在していた。しかしこれらの変化にdose responseは認められなかった。 3.ヌードマウス移植ヒト腫瘍組織に対するE,Pの影響 ヌードマウスに移植したヒト未分化胚細胞腫を用いEおよびPの増殖に対する効果を検討した。腫瘍増殖倍加時間でみるとE10で有意促進,P1で有意遅延効果がみられさらにE1+P1で倍加時間がコントロールの約5倍に遅延した。 4.腫瘍組織中のオンコジーンに関する検討 誘発ラット子宮内膜癌組織中のC-myc,C-ras,C-fms,C-erbA,C-erbBについてrothern blottingによりオンコジーン増幅について検討した。しかしホルモン投与による有意な変化は観察しえなかった。
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