研究概要 |
鼻過敏症状発現におけるSubstance P (SP),CGRPを介する局所反射の関与について検討した。1)卵白アルブミン感作モルモット(N=38)を2群に分け、I群ではcapsaicin(972mg/kg)前処置を行い、SP、CGRPの枯涸を計り、II群はコントロ-ルとした。ヒスタミン点鼻誘発、抗原点鼻誘発に対する鼻腔通気抵抗、鼻粘膜血管透過性、知覚過敏性を定量的に測定し、capsaicin処置の影響を検討した。ヒスタミンおよび抗原点鼻により誘発されるくしゃみの回数はcapsaicin処理群で推計学的に有意な低値を示した。5%卵白アルブミン10μl×4誘発時にみられる呼吸抵抗変化率はcapsaicin処置群で低値を示す傾向(P<0.1)を認めた。硫酸アトロピン(0.1mg/kg)注による副交感神経反射遮断後もこの傾向差は変化しなかった。卵白アルブミン誘発時にみられる血管透過性亢進もcapsaicin処置群で低値を示す傾向(P<0.1)を示した。以上の成績より(1)免疫組織学的に鼻粘膜に認められるSP陽性、CGRP陽性神経線維はくしゃみのボ心格の少くとも一部を構成するものと考えられた。また、(2)鼻粘膜過敏症状発現にSP,CGRPが関与する可能性は強いが、さらに強力な作用を持つ各種化学伝達物質の作用のために不明瞭となるものと考えられた。2)鼻アレルギ-症例(N=15)を対象として抗原誘発を行い、誘発10分後の鼻洗浄液中のSPの量をRIA法を用いて測定した。抗原誘発的、鼻汁中SP量の有意な増加を認めた。3)鼻アレルギ-症例(N=11)を対象としてSP(8.8〜35.2nmol)の鼻粘膜上投与を行い、鼻腔通気抵抗、鼻汁分泌量、くしゃみ、鼻粘膜血流量の変化を経時的に測定した。SP投与は容量依存性に鼻腔通気抵抗値の上昇をおこした。しかし、くしゃみ、鼻汁分泌量には有意な変化を認めなかった。また鼻粘膜血流量にも推計学的に有意な変化は認めなかった。
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