研究概要 |
1.免疫電顕組織学的に観察すると鼻粘膜上及層では線毛細胞間、線毛細胞と盃細胞の間口SP,CGRP陽性神経の終末は分布した。モルモットの翼口蓋神経節では神経節細胞の周囲に多くのSP,CGRP,ENK陽性の神経終末が認められ、これらは神経節細胞または神経節細胞から出た短い突起にシナプス結合していた。三又神経軸索側副枝による副交感神経活動制御の可能性が示唆された。 2.冷気吸入時にみられるヒト鼻粘膜腫脹はリドカインを予め鼻粘膜に噴露しておく事により抑制された。capsaicin前処量は冷気吸入時におこるモルモット鼻粘膜血管透過性亢進を抑制する傾向を示した。 3.鼻アレルギー症例を対象として抗原諍発を行うと、鼻洗浄液中にpg単位ではあるが有意なSP量の増加を認めた。16nmolのspを鼻アレルギー症例の鼻粘膜上に投与すると一過性ではあるが、有意な血流増加と鼻粘膜腫脹をおこした。くしャみが諍発される事はなく、以上の血管の反応は肥満細胞の脱類粒を介するものではなく、SPの血管壁に対する直接作用によるものと考えられる。 4.鼻アレルギーモルモットにおいて抗原またはヒスタミンで諍発されるくしゃみはcapsaicin前処量で有意に抑制された。しかし抗原諍発時にみられる鼻粘膜腫脹および鼻粘膜血管透過性亢進はcapsaicin前処量により抑制傾向(PCO.1)を示するにとどまった。鼻アレルギーにおけるくしゃみの求心路は主に鼻粘膜皮膚に終末を認めるSP,CGRP陽性神経にあり、一方、鼻粘膜腫脹、血管透過性亢進は主に化学伝達物質の鼻粘膜血管に対する直接作用によるものであり、一部にSP,CGRP陽性神経を介する反射が関与するものと考えられる。
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