研究概要 |
1.手術的に摘出した頭頸部悪性腫瘍細胞を用いて、二重軟寒天培地で培養し、 ^3Hーチミジンの取り込みでみる迅速アイソト-プ法と、培養3週間後にコロニ-形成率で判定するコロニ-法による抗癌剤感受性試験に成功した。 2.平成2年度内に106症例に施行し、評価可能であったのは52例、55%であった。 3.頭頸部悪性腫瘍の原発、転移を含めた、441検体からの単剤効果の分析では、感受性率はPEP30%,BLM26%,MMC19%,ADM16%,CDDP15%,5ーFU14%,VCR13%であった。25検体以上の結果は、臨床での単剤有効率の印象と比較的によく一致していた。また、原発と頸部リンパ節転移を比較すると感受性に差がみられ、heterogeneityを示していた。さらに頭頸部悪性腫瘍の部位別感受性をみてみると、口腔癌は比較的に抗癌剤によく反応し、喉頭、下咽頭は感受性が悪かった。これも臨床経験と比較的類似していた。 4.臨床的に5ーFUとビタミンAと放射線は相乗抗癌効果を示しFAR療法と呼ばれているが、ビタミンAとの併用効果を研究した。その結果、併用増感効果がみられた抗癌剤は5ーFUのみであったが、ビタミンAとの併用増感がみられたのは33%(2/6)であり、全例ではなかった。 5.感受性試験を応用できる最もよい適応は、上顎癌に対する補助化学療法であることがわかった。減量手術時に材料が比較的多く取れるからである。約5日で出る結果を動注剤の選択に利用し、その有効性を期待して放射線併用量を50Gy以下に減量した。手術所見が良好な場合、さらに減量し28Gyにした症例もある。このような方式を8例に行った。化学療法単独でないので今後の生存率などの臨床経過観察が大切であり、歴史的生存率と比較してその有効性を2年目、3年目で明らかにしたい。 6.白金系抗癌剤感受性は温熱の併用により増感することができた。
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