研究概要 |
1.ATP法の評価:1993年1月までに、ATP法による制癌剤感受性試験を51症例、288検体に施行した。48例に評価可能で、評価可能率は94%と良好であった。薬剤別感受性陽性率は、ADM24%,CDDP21%,PEP21%,CBDCA19%,MMC16%,5-FU13%であった。ADM以外は、経験的臨床効果とほぼ一致していた。 2.ATP法と迅速サイミジン法(RTIA)の比較:PTIA法は1993年1月までに、167症例、322検体に施行し、評価可能率は、51%(85/167)であった。ATP法と比較して、かなり悪かった。ATP法との薬剤別感受性一致率は、MMC83%,CBDCA75%,CDDP70%,5-FU70%,PEP60%,ADM29%で、合計一致率は67%(34/51)であった。ADMの不一致率が問題であるが、薬剤濃度設定に問題があるのかもしれない。 3.臨床相関に関する両法の比較検討:RTIA法で、prospectiveにしろ、retrospectiveにしろ、評価できたのは10例で、有効剤正診率は66%(4/6),無効剤正診率は75%(3/4)であった。RTIA法全体では70%(7/10)の正答率であった。一方、ATP法で臨床相関が得られたのは、6例で、有効剤正診率50%(1/2),無効剤正診率100%(4/4)であった。ATP法全体では83%(5/6)の正答率であった。従来の他科の報告に見られるように、やはり無効剤の予見の方が優れているようだあった。また、現在のところATP法の方が、評価率、臨床相関率、共に良いが、まだ例数が少ないので今後の検討に待ちたい。頭頚部癌では、薬剤耐性が強いが、これらを克服する方法の開発が今後の大きな課題である。 4.RTIA法における摂取率カウント数と生存率、局所再発率、遠隔転移率などとの関連性の分析では、評価可能症例が85例ではあるが、領域別では例数が少なく、有意差はでないが、高摂取率の方が予後が悪い傾向にあった。
|