研究課題/領域番号 |
02454398
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
舩坂 宗太郎 東京医科大学, 医学部, 教授 (70009968)
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研究分担者 |
初鹿 信一 東京医科大学, 医学部, 講師 (20211477)
平出 文久 東京医科大学, 医学部, 助教授 (50010343)
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キーワード | 人工内耳 / 情報伝達率 / 加工音声 / 語音聴力検査 |
研究概要 |
本研究は人工内耳装用患者に最適な日本語音情報を伝えるための音声情報処理と聴神経刺激法の開発を目的とするものである。 本年度はその第一段階として、アパ、アバ、アタ、アダ、アカ、アガアハ、アサ、アザ、アナ、アマ、アラ、アヤ、アワの14語の聴取率を人工内耳患者23名について求め、これから子音の情報伝達率を計算した。正答率と情報伝達量とを重回帰分析した結果、人工内耳の摩擦音、破裂音、半母音の情報伝達率が正答率に深く関与していることが明らかとなった。また人工内耳と読話を併用した条件下では、有声・無声と破裂音の情報伝達率、そして個人差はやや大きいが構音点の情報伝達率が正答率に寄与していることが示された。このことから、鼻音の情報伝達率は上記二つの条件下では正答率に係わるものではない結果となった。 次にパ、バ、タ、ダ、カ、ガ、ハ、サ、ザ、ナ、マ、ラ、ヤ、ワの14子音の子音部および子音部から母音部への移行部分を、別個にまたは両者ともに反復(いわば時間軸上での増幅)ないしは振幅増幅した加工音声を作製した。これを検査語として手始めに中等度感音難聴者を被検者として、正答率の改善にどの加工が効果的であるのかを検討した。その結果、鼻音では振幅増幅は有効であるが反復は効果がないという結果となった。振幅増幅は無声破裂音のうち、タ、カにも正答率を高めるものであった。人工内耳患者の場合、摩擦音は回帰係数が大きい(3.272)ので特に操作する必要はない。以上のことから、人工内耳による聞こえの改善を計るには、子音の初期部分を増幅すればよいと推定される。来年度は加工音声による人工内耳患者の聴取能検査と結果の解析、そしてこの加工をonーlineで行う回路の開発を行う予定である。
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