研究概要 |
輻輳機能の異常は,核上性の器質的異常による輻輳麻痺のみならず,屈折や調節機能と関連した輻輳不全,調節性内斜視などのAC/A異常が良く知られている.これらの輻輳機能は,臨床的にはプリズムカバ-テスト(PCT)や自覚的検査を利用した眼位の測定により調べられ他覚的測定は困難である.EOG,フォトセルを利用した輻輳眼球運動記録は,原理的に装置上の問題がある.そのため新しい他覚的方法に基づく輻輳眼球運動測定装置が必要である.今回は,両眼のプルキンエ像をTVカメラにより同時に捕捉し,画像解析により両眼眼球運動を連続的に計測するシステムの作成を試みた.また,同一の画像より調節・瞳孔の同時測定が可能であった. TVカメラを利用したビデオリフラクション装置は内蔵赤外光の眼底反射を利用し,屈折を被験者から離れた位置で測定する.本装置のモニタ-上では両眼のプルキンエ像が明瞭に映っている.したがって,この装置に簡単な改造を施せば,輻輳眼球運動の測定に十分な性能が得られる.この装置は,約8秒に1回の眼位・屈折・瞳孔の静的計測を行なう.この状態で精度の良い近見反応測定装置として使用できることがわかった(平成3年弱視斜視学会にて報告予定). これを高解像のビデオ記録装置(レ-ザディスクビデオレコ-ダ-)と外部の強力な画像解析用コンピュ-タ-を利用して連続測定を試みた.その結果,コンピュ-タ-が十分強力であれば,近見反応動特性が遠隔点から解析できることがわかった.現在,論文を準備中である.
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