研究概要 |
本年度は,2台のCCD-TVカメラに105mmのレンズを付け,これらの画像をワイパーにて合成し,ハママツホトニクス製の輝点位置追跡装置にて角膜反射光の位置を求め,これから眼球運動を計測する装置を作成した.両眼それぞれの眼球運動の記録装置としては頭の固定を行なっていないため問題があるが,両眼の動きの差より輻輳眼球運動を計測することができた.また本装置は赤外照明系とナイフエッジをもつため,調節状態についてもオンライン計測は不可能であったがこの画像をHi-8ビデオレコーダーに記録することにより画像解析を可能とした.得られた画像の解析は,ネクサス製画像解析専用装置(東京工芸大学写真工学科・畑田豊彦教授の協力による)とパーソナルコンピュータ(グラバー付きのApplc Macintosh,解析ソフトはNIH Image)の2方式を試みた.いづれの方式も十分な能力をもつことが確認できた.装置上の課題としては,キャリブレイションの問題および測定精度と測定範囲の相反性がある.得られた画像と調節状態の関係に理論的にあいまいな点が残されており,これを解決することにより最適な照明方法を得る必要がある. 以上の装置は,種々の臨床的な測定に応用できることが考えられるが,期間内には斜視における近見反応の解析に使用することができた.すなわち,間欠性外斜視において外斜視状態と斜位状態での近見反応を比較したところ,斜位状態ではほぼ正常,斜視状態でも近方視した際には縮瞳・調節・輻輳が生じていることが判明した.
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