昨年度は網膜色素上皮細胞(RPE)においてtyrosinase活性の異なる網膜色素上皮細胞(PE)と無色素上皮細胞(NPE)では、酸素濃度を変化させ、dopaを投与した場合に細胞増殖に対する影響には相違があることを示した。本年度は防御機構がどのような影響を受けるか、REPのSuperoxide Dismutase(SOD)活性を測定することにより検討した。方法・実験には豚眼培養RPEとPEとNPEの部分に分けて培養された牛眼RPEを用いた。培養液中にdopa(100μM、250μM)を投与し、酸素濃度を5%、10%、20%と変化させた後、SOD活性をhypoxanthineーxanthine oxidaseの反応とluminol発光を応用して測定した。 結果:酸素濃度を上昇させるにつれて培養RPEのSOD活性は低下していたが、dopaを投与した場合には高くなっていた。酸素濃度の上昇によるSOD活性の低下とdopaの投与によるSOD活性の上昇はNPEよりPEに強く認められた。 結論:酸素濃度の上昇によって培養RPEのSODは消耗されるが、dopaがmelaninへと変換される際には、細胞内外の活性酸素がかえって減少している可能性がある。また、tyrosinase活性の異なるRPEでは、dopaや酸素濃度の上昇によってSOD活性に与えられる影響に相違があり、melaninの生合成の程度により培養RPEのSOD活性も強く影響をうけていることがうかがわれた。
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