研究概要 |
実験動物を用いて、いろいろな視覚刺戟状件下に対応する網膜を含めた中枢神経系組織の生化学的マ-カ-について検索を試みた。さらに、病的状熊での生化学的マ-カ-の変化についても検索を行った。たとえば、ラットを用いて網膜と視神経の虚血変化に対して、それら組織中の尿酸値をHPLC法による測定したところ、虚血状熊では尿酸値が有意に上昇し、良き生化学的マ-カ-になることを示した。さらに、基磯的なものとして、脳組織の各部位をFTラマン分光スペクトル法で分子レベルで区別する方法を確立し、組織化学の脳切片へ応用できるようにした。ラット視神経切断実験では、カエルの視神経切断時に認められたチュ-ブリンmRNAの発現上昇は認められなかった。しかしNGFのmRNAの網膜での増加傾向は認められた。暗室飼育のラットでは後頭葉でのNGFのmRNAの発現の変化は認められなかった。これらmRNAの発現は、新らたに開発した微小組織からpolyAーmRNAを抽出、逆転写酵素にてcDNAとし、それを元に特定のプライア-を用いてPCR法で増幅する方法を用いたのでかなりの誤差が出る。そして特定の細胞のmRNAの発現をみている訳でないという欠点がある。そこでmRNAのin situ hybridization法を導入することにした。実験動物は妊娠ラットを完全暗箱にて、赤外モニタ-下飼育し、視覚の臨界期前後で、光刺戟の有無,強さや時間により各種のグル-プに別ける。それら動物の後頭葉,外膝状体や網膜でのmRNAの発現を検索する。暗室飼育はラットではうまくいくが、ネコではむずかしく今のところうまく出来ていない。in situ hybridizationのプロ-フとしては成長因子NGF,NT3,BDNFやそれらのレセブタ-のeDNAを用いるが、特定のプライマ-を用いてPCR法で増幅し、精製したcDNAを用いる。NGF,BDNF,NT3,CNTF,Trk,Erkなど用意でき、幼若ラットで検索を行っている。
|