研究概要 |
1.モルモットの角膜に塩基性線維芽細胞成長因子(bーFGF)を移植したところ,3ー4日目には角膜中央に向かう新生血管が発生し始めた。新生血管は内皮細胞の発芽や細胞質の突起を出すことによって,周囲組織へ侵入を始めた。内皮細胞の基底膜はこの部分で断裂していた。血管新生を示す角膜には白血球浸潤を認め,酸性フォスファタ-ゼ反応を行うとこの細胞に陽性沈着物を認めたが,他の細胞には陰性であった。免疫組織反応では、fibronectinが血管新生の最先端部で,まだ血管が侵入していない部分にも検出された。laminineやType IV cllgenは既に形成された新生血管の周囲に,また血液第VIII因子は新生血管の内皮細胞に検出された。 2.ウサギの硝子体腔に6ーFGFを移植したところ,a)bーFGFのみでは硝子体新生血管は認められなかったが,b)移植前に空気を注入して硝子体制離を起こし,さらにアミノアジピン酸を硝子体注入した群では,心眼中9眼に新生血管をともなった増殖組織を硝子体内に認め,c)bーFGF移植とアミノアジピン酸注入に加え,さらにヨウソ酸ナトリウムを静注した8眼には新生血管を認めなかった。これらの新生血管は、蛍光眼圧造影を行うと蛍光剤の漏出を認め,電子顕微鏡で観察すると内皮細胞に窓(fenestration)が観察された。 3.laserflare cellmeterによる臨床例での検索では,糖尿病網膜症が重症になるほど前房蛋白濃度が高くなり,種々の手術操作により蛋白濃度は変遷することが判った。 4.今回の研究費支給額内ではサルを購入するのは不可能であったので、サル眼での研究は別途行うことにした。
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