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1990 年度 実績報告書

外来遺伝子導入により作成された顔面奇形を持つミュ-タントマウスの解析

研究課題

研究課題/領域番号 02454414
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

江藤 一洋  東京医科歯科大学, 歯学部顎研発生, 教授 (30014161)

キーワードトランスジェニックマウス / 顔面奇形 / 異型トランスサイレチン遺伝子
研究概要

家族性アミロイドポリニュ-ロパシ-の疾患モデルマウスを作成するために、この疾患の発症原因である異型トランスサイレチン(TTR)遺伝子を受精卵に導入してトランスジェニックマウスを作製したところ、上顎の劣成長(胎仔期)と側方への著しい偏位(出生後)等の顔面形成異常を有するミュ-タントマウスが発見された。このマウスには異型TTR遺伝子が組み込まれており、その子孫を検索した結果、この形成異常は常染色体性優性遺伝であり、外来遺伝子が13番目の染色体上に挿入されたために起こったものと考えられる。この形成異常のメカニズムを知るために、本年度は、発生過程のどの時期に、どの組織に異常が現れ、どのように進行していくのか、形態学的に解析した。
その結果、胎齢11.5日の実体顕微鏡、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡による観察からは顔面奇形の有無は確認できなかった。しかし、胎齢13.5日では顔面奇形を有する胎仔は正常胎仔に比べ全身が小さく、口吻の前方への突出が悪く、上唇中央部の裂溝が深いことが、実体顕微鏡下で観察された。これらの点は、胎齢を経ても同様に認められた。さらに光学顕微鏡による観察からも、顔面奇形を有する胎仔では、胎齢13.5日より上唇部の膨らみが少なく、胎齢15.5日以降は鼻骨、上顎骨、下顎骨、筋が低形成であることが確認された。
以上のことから、本研究で使用したミュ-タントマウスは、胎齢13.5日ですでに顔面奇形の兆候を示していること、その奇形の特徴は成獣のものとほぼ共通していることが明かとなった。このような口吻の劣成長や、骨、筋の低形成は、それらの組織を発生する第一鰓弓において、間葉細胞の増殖、分化、前方への移動が正常に行われなかったことに起因する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] OsumiーYamashita,N.et al.: "Expression of retinoic acid receptor genes in neural crestーderived cells during mouse facial development." FEBS Letters. 264. 71-74 (1990)

  • [文献書誌] OsumiーYamashita,N.& Eto,K.: "Mammalian cranial neural crest cells and facial development." Development,Growth and Differentiation. 32. 451-459 (1990)

  • [文献書誌] Watanabe,T.et al.: "Whole embryo culture of mutant rats(Uchida rat)with craniofacial malformation." Teratology. 42. 39A (1990)

  • [文献書誌] Daidoji,S.et al.: "Immunolocalization of bFGF in cerebral cortex of rat embryos during early vascularization." Teratology. 42. 20A (1990)

  • [文献書誌] OsumiーYamashita,N.et al.: "Altered expression of retinoic acid receptor genes induced by retinoic acid during mouse facial morphogenesis." Cell Structure and Function. 15. 490 (1990)

  • [文献書誌] 江藤 一洋,他: "著しい顎偏位を発症するトランスジェニックマウス胎仔の組織学的解析" 口腔病学会雑誌. 58. (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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