研究概要 |
歯周病の発症と進行に特定のグラム陰性桿菌とスピロヘ-タが密接に関わっている。成人性歯周炎では,Porphyromonas gingi Valis.Prevotella intermedia,Bacteroides forsythus,Eikenellacorrodens および Fusobacterium nucleatumが病原菌となっている。さらにActinobacllus actinomycetemcomitansは,若年性歯周炎のみならず成人性歯周炎の病原菌となっている。それらの歯周病原性グラム陰性菌の共通する病原性因子が外膜成分でlipopolysaccharide(LPS)からなる内毒素である。本実験目的は,これらのLPSが歯周局所の細胞に付着するか否かは,その赤血球への付着能を赤血球凝集能の有無によって調べた。上述のグラム陰性菌から温フェノ-ル・水法によって抽出したLPSについて検討した。P.intermedia,E.corrodensおよびA.actinomycetemcomdtansから抽出したLPSは,rougA型のもので全て赤血球凝集能を示した。他P.gingivalisの4株から抽出したLPSは全てsmooth型で赤血球凝集活性は認められなかった。抽出LPSの実験的ペリクルの付着能は,ハイドロキシアパタイトビ-ズを唾液および血滑でcoatしたもので行った。赤血球凝集能と同様にP.intermedia,E.corrodplls およびA.actinomycetemycetemcomitansのLPSだけが,唾液および血滑でcoatしたハイドロキシアパタイトビ-ズに付着した。P.gingvalisのLPSは,唾液や血清をcoatしないハイドロキシアパタイトに付着したLPSは,蒸留水で激しく振盪しても離れてこないことがわかった。すなわちいったん付着した内毒素は,歯周局所特に歯面に付着した場合,簡単に離れることなく病原性を発揮するものと考えられる。
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