研究課題/領域番号 |
02454420
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (10096513)
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研究分担者 |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00157421)
澤田 隆 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60125010)
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キーワード | 形成障害歯 / フッ素 / 基質形成期琺瑯芽細胞 / 分化期琺瑯芽細胞 / アメロジェニン / 免疫電顕 / protein Aーgold間接法 |
研究概要 |
本年度は主としてフッ素投与による形成障害歯の琺瑯芽細胞におけるアメロジェニンの検索を行なった。 ラットにフッ素(84mg/kg b.w.)を投与すると、琺瑯質に石灰化障害線の出現を見る。障害線の発現に関与すると思われる時期の基質形成期琺瑯芽細胞には、遠心側細胞質に大小種々の顆粒が出現している。この顆粒の出現に伴って粗面小胞体は湾曲変形し、小胞体膜の融解やリボゾ-ムの遊離などの変化を現わすと共に、ゴルジ装置も移動している。このような細胞には分泌顆粒は少ない。また、琺瑯芽細胞近心側の細胞間隙や琺瑯芽細胞と中間層細胞の間にstippled material様の物質が時に観察される。このような試料に、抗アメロジェニン抗体を用いる免疫電顕法(protein Aーgold間接法)を応用して見ると、琺瑯芽細胞の遠心側細胞質に出現した顆粒や変形した粗面小胞体、ゴルジ装置等にアメロジェニンの局在が観察される。琺瑯芽細胞の近心領域に出現したstippled material様の物質にも、同様、アメロジェニンの局在が見られる。 琺瑯芽細胞の近心領域に出現する上記の基質様物質は、フッ素投与によって、琺瑯質有機基質の分泌方向に異常を来したものと考えられるが、対照試料における分化期琺瑯芽細胞を詳細に検討すると、極めて興味ある知見が得られる。それはこの時期、細胞質小器官の分布に極性が見られないものの、粗面小胞体やゴルジ装置にアメロジェニンの局在が認められることである。このことは、この時期、既に琺瑯質有機基質の合成が始まっていることを示唆している。従って、基質形成期琺瑯芽細胞の近心側に観察された上記基質様物質は、その分泌方向が定まらない時期に細胞外に放出されたものが、フッ素の影響によって、のちの吸収阻害を被ったものとも考えられる。次年度は、この点を詳細に検討するとともに、計画調書に記載した内容に沿って研究を続行するつもりである。
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