研究課題/領域番号 |
02454427
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
井上 秀夫 徳島大学, 歯学部, 教授 (30028732)
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研究分担者 |
鶴身 知津子 徳島大学, 歯学部, 助手 (60236958)
芦田 嘉之 徳島大学, 歯学部, 助手 (40212500)
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キーワード | 唾液分泌促進剤 / タンパク質リン酸化 / mRNA / 耳下腺 / オルニチン脱炭酸酵素 / アミラーゼ分泌 / プロトオンコジーン / herbimycin A |
研究概要 |
イソプロテレノール(IPR)、カルバコール(CC)、メトキサミン(MTX)などの唾液分泌促進剤によるオルニチン脱炭酸酵素(ODC)誘導に先だって、複数の耳下腺タンパク質のリン酸化が促進される。その際さらにODC遺伝子の発現に先行して非受容体型チロシンキナーゼ群に属するc-srcのmRNA量が上昇する。そこで上記3種の分泌アゴニストによる培養ラット耳下腺でのODC誘導およびアミラーゼ分泌促進過程におけるタンパク質チロシンリン酸化反応の役割について検討した。方法として種々の阻害剤で処理した培養ラット耳下腺エクスプラントをアゴニストで刺激し、1時間後の培地中のアミラーゼ活性と6時間後の耳下腺ODC活性を測定することにより、チロシンリン酸化レベルが変動した場合の影響について調べた。化学構造の異なる5種類のチロシンキナーゼ阻害剤(ハービマイシンA、メチル2.5-ジヒドロキシシンナメート、ゲニステイン、アピゲニン、ラベンダスチンA)はすべて3種のアゴニストによるODC誘導を抑制したが、アミラーゼ分泌を逆に促進した。一方、チロシンホスファターゼ阻害剤であるオルトバナジン酸ナトリウムを単独で処理すると、ODC活性の上昇が認められ、この上昇はハービマイシンAで抑制された。またアゴニストと併用すると、MTXまたは低濃度のIPRやCCによる弱いODC誘導はバナデートで促進され、アミラーゼ分泌は逆に抑制された。これらの結果より、唾液分泌促進剤による培養ラット耳下腺のODC誘導に、耳下腺タンパク質のチロシンリン酸化が必要であるが、アミラーゼ分泌に対しては、チロシンリン酸化反応は抑制的に作用すると考えられ、ODC誘導とアミラーゼ分泌促進の機構が異なることが示唆された。
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