研究概要 |
Bacteroides gingivalisから歯周炎患者血清が認識する200kDa抗原蛋白質遺伝子のクロ-ニングに成功し、リコンビナント抗原が本菌に特異的であることが示唆された。200kDa抗原蛋白質の主要抗原部位とマルト-ス結合蛋白質とのキメラ分子を産生するサブクロ-ンの作製に成功し、リコンビナント抗原の簡易精製とDNAプロ-ブの大量生産を可能にした。昨年報告した40kDa外膜蛋白質クロ-ンのリコンビナント抗原に対する抗体は、B.gingivalisとA.viscosusの共凝集を阻害し、凝集因子の構成成分である可能性が示唆された。また、本菌の病原因子の一つと考えられているglycylprolyl aminopepfidaseの遺伝子クロ-ニングにも成功した。従ってこれらの遺伝子クロ-ンは、本菌の病原因子の診断に有用なDNAプロ-ブになり得ることが示唆された。本年度では、新たにWolinella recta,Actinobacillus actiomycetemcomitans,Capnocyfophaga ochraceaについて特異抗原蛋白質遺伝子のクロ-ニングに着手した。W.rectaは、歯周ポケットの環境を嫌気的に遷移することから歯周病初期感染の重要な関連菌とされている。本菌の150kDa細胞表層蛋白質は特異的でかつ患者の血清診断に有用であることがすでに報告されている。新たにクロ-ニングしたpMD407クロ-ンは150kDa蛋白質を産生し、このリコンビナント蛋白質に対する抗血清はW.recta菌体性から精製した150kDa表層蛋白質を認識する。また、両者の150kDa蛋白質精製標品のN末端アミノ酸配列は一致していた。これらのことから、pM407クロ-ンDNAはW.rectaを同定検査するために有用なDNAプロ-ブとなろう。さらに、A.actiomycestemcomi tans,C.ochraceaについても、それぞれの菌体に対する抗血清が認識する抗原蛋白質を産生する遺伝子クロ-ンの作成に成功しており、DNAプロ-ブとしての有用性について検索中である。
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