研究分担者 |
梅田 誠 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90193937)
和泉 雄一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60159803)
小田 茂 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70160869)
渡辺 久 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (40143606)
萩原 さつき 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70134715)
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研究概要 |
歯周ポケット内の細菌は歯周疾患の発病と進行に深く関与していると考えられている.その中でもPorphyromonas gingivalis,Actinobacillus actinomycetemcomitansなど数種の細菌は種々のビルレンス(病原因子)を保有し,歯周病原細菌として,特に注目されている.私共の教室では7年前から,ELISA法によってこれら歯周病原細菌に対する患者血清IgG抗体価の測定を行なってきた.今回,従来の測定法を迅速かつ検体処理能力の高いものとすることを目的として測定法の改良を試みた.標準血清を連続希釈して標準血清曲線を描き,全ての被験血清はこの標準曲線上に乗るものとして,単一希釈した被験血清からその抗体価を算出した.24名の患者血清について,P.gingivalis,Prevotella intermedia,A.actinomycetemcomitansおよびFusobacterium nucleatum4菌種に対する抗体価を10回ずつ測定した結果,改良した測定法では測定時間は短縮できなかったが,単位時間当りの検体処理数が約6倍に改善された.しかし,比較的抗体価が低い場合は今までの抗体価より高く算出される為,改良型血清抗体価測定法は比較的高い抗体価を示す血清をスクリ-ニングする際には有効であると考えられた. 次に,中等度から重度の歯周炎患者の初診時と,activeな治療が終了した時点での7種の歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価をELISA法で測定し,治療による歯周炎の治癒が血清抗体価に及ぼす影響を検討した.その結果,P.gingivalis,P.intermediaにおいて術前に対し術後の血清抗体価が有意に減少した.P.g.に対する抗体価の減少量と歯周外科の行なわれた歯数,および治療期間の長さとの間,P.i.に対する抗体価の減少と喪失歯数との間に有意な正の相関が認められた.以上より,P.g.,P.i.の抗体価の減少が,治療の有効性を評価する指標の一つとなり得ることが示唆された.
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