研究概要 |
フィッシャ-系ラット腹腔にホルマリン処理したバクテロイデス・ジンジバリス(Bg)を免疫した。2週間後に脾臓細胞より限界希釈法に従い,T細胞のクロ-ニングを試みてきた。予備実験の結果,この免疫法ではTヘルパ-系(CD3+,CD4+,CD8-)の誘導が強かった。限界希釈を用いた分析によれば,免疫したラットの脾臓における,Bg特異的T細胞の存在は,CD4陽性T細胞が5×10^3,CD8陽性T細胞が2×10^4の細胞に1個の割合でみられた。興味あることにCD8陽性T細胞の出現頻度が高かった。この点については後に述べる抗体産生の抑制現象を説明するかもしれない。現在までに得られた8つのTクロ-ン細胞は,CD4+,CD8-,CD45R-,の膜マ-カ-を有するものであった。いずれもBgに高い反応性を示し,バクテロイデス・インテルメディウス,アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンスとは交叉反応は認められなかった。また,ILー2の産生は認められなかった。 このことより,得られたTクロ-ンは膜マ-カ-ではTヘルパ-系であり,CD45R抗原の発現状況及びILー2産生の面からTh2タイプの細胞であると予想される。しかし,抗体産生のヘルパ-活性はイミノグロブリン,特異抗体の両面において抑制的に働いており,Th2タイプとは確定しがたい。今後これらのクロ-ンT細胞が抗体産生の面でどのような関わりをもつか検討する必要がある。
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