研究概要 |
ウシ象牙質由来の粗製Bone morphogenetic protein(BMP)を高速液体クロマトグラフィ-によるゲルろ過を行い、得られたフラクションのウシ歯髄培養細胞に対するDNA合成、アルカルフォスファタ-ゼ活性に及ぼす影響を調べた。その結果、DNA合成促進、抑制およびアルカリフォスファタ-ゼ活性抑制のピ-クはおのおの異なるフラクションにおいて得られ、歯髄細胞の増殖因子と分化誘導因子は異なる蛋白質であることが示唆された。象牙質内にはInsulinーlike growth factor I,II(IGFーI,II)の含有が発表され,歯髄細胞に対して増殖活性が高いことが明らかとなった(中島)ので、分化誘導因子の精製を目的として、I型コラ-ゲンおよびIII型コラ-ゲンの変化をELISA法および蛍光抗体法により検索した。すなわちIII型コラ-ゲンは歯髄細胞には存在するが、preodontoblastに分化すると消失することを利用し、ゲルろ過で得られたフラクションのうち、III型コラ-ゲンの減少を誘導するフラクションを、さらにMono Qカラムにて陰イオン交換クロマトグラフィ-を行った。しかしながらIII型コラ-ゲン合成の明らかな減少を誘導するフラクションを見出すことはできなかった。用いたコラ-ゲンIII型抗体はI型コラ-ゲンと約30%交差するため、III型コラ-ゲンの変化を高感度でとらえることができなかった。そこで、I型コラ-ゲンと交換差しないIII型コラ-ゲン抗体を入手して検索したところ、III型コラ-ゲンの変化をほぼ確認できる結果が得られた。
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