研究概要 |
ウシの脱灰象牙質から得た粗製Bone Morphogenetic Protein(BMP)を高速液体クロマトグラフィーによりゲルろ過を行った。ウシ歯髄培養細胞に対して、DNA合成促進、抑制およびアルカリフォスファターゼ活性のピークは各々異なる画分にあることから、歯髄細胞の増殖因子と分化誘導因子は異なる蛋白質であることが示唆された。象牙質内での存在が知られているInsulin-like growth FactorI,IIが歯髄細胞に対して増殖活性が高いことを確認したので、分化誘導因子の精製を目的として以下の実験を行った。すなわち、ヘパリンセファロースアフィニティクロマトグラフィにより0.15-0.50M塩化ナトリウムで溶出される画分をラットの皮下に移植したところ多量の骨形成が見られた。この画分を培養歯髄細胞に作用させたところ、2週においてホスフォホリン合成をdose-dependentに上昇させることが免疫蛍光抗体染色により明らかとなった。ノーザンブロット分析を用いてオステオカルシン発現をみたところ、この画分は無添加群および他の3画分に比べて有意な発現増加がみられた。したがって、ヘパリンセファロースアフィニティクロマトグラフィは粗製BMPから象牙質細胞分化誘導因子を分離精製するのに有効な手段と考えられた。現在、より確実で簡便なin vivoのアッセイ系を確立することを検討中である。
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