研究概要 |
本研究の本年度テ-マのひとつである病態群(順機能異常者)の形態学的検討は、顎関節痛、顎関節雑音などの顎機能異常を有する咬合不正、顎変形者に対して、咬合模型、頭部X線規格写真を用いて、昨年本研究において求めた“日本人成人の顎形態の基準値"を対照に検討を加えた。その結果、顔面非対称者に疼痛、とくに咀嚼筋痛が多くみられた(75%)。特定の不正咬合と顎機能異常との間に有意な関連は見い出せなかったが、アングルII級、開咬、過蓋咬合者において顎機能異常者が多い傾向が認められた。これらはアングルII級や過蓋咬合では、下顎の機能的方位をとりやすく顎機能異常をひきおこしやすい。また開咬では、臼歯のセントリックストップが不安定なものが多いという報告もあることから、これら不正咬合には、咬合時の早期接触を含め、生じやすい何らかの咬合異常、顎運動時の偏位が存在し、これが本症発症原因の1つになっているのではないかと考えられる。(第45回日本口腔科学会総会口頭発表) さらに昨年度に引き続き行なっている下顎技垂直骨切り術(IVRO)を用いた顎矯正治療は、顔面非対称者の治療においても好ましい臨床成形症学会口頭発表予定) 現在、術前術後の形成変化と顎機能変化について検討を行なう一方、より詳細な病態群の機能評価を行なう目的で咬合圧計、Kー6ダイアグノスティックシステムを用い、咀嚼機能、咀嚼筋活動,咬合圧,下顎運動についての術前,術後の状態について症例を加えつつ,経過を観察しながら検討を加えている。
|