レ-ザ-の鏡視下手術については、診断用微細径ファイバ-スコ-プのイメ-ジガイドを応用することで、従来2チャンネルの穿刺下でしか不可能であった直視下の鏡視下レ-ザ-手術を、鏡体の太さを従来のものと変えずに1チャンネルで可能な手術用鏡体の試作に成功した。それに伴い、従来使用してきたレ-ザ-ファイバ-は太く、コンタクトチップの関節腔への落下等の危険性が報告されているため、今回新たに直径600μのコンタクトチップを必要としないベアファイバ-のレ-ザ-ファイバ-を試作し、臨床応用にあたっての基磯的研究を行った。レ-ザ-本体はSLT社製CLー50を用い、エネルギ-メ-タ-で実出力を測定した後、家兎(体重3Kg)の膝関節にSLT表示5w、10w、15w、20w、25w/secのレ-ザ-照射を行い、腔内温度の上昇ならびに周囲組織内温度の上昇を安立計器社製デジタル温度計HLー201で測定した。その後、家兎12羽をもちいて膝関節の滑膜、半月板、関節較骨表面へ5w、10w、15w、20w、25w/secのレ-ザ-照射を行い手術直後、2週間後、4週間後に屠殺し、組織損傷範囲ならびに治癒過程をみた。その結果、5wから25wまで腔内温度の上昇は毎秒1ccの腔内還流下において2〜4度の上昇に留まったことから顎関節腔へのベアファイバ-の応用に関し、腔内温度の上度については臨床使用上の問題は少ないと思われた。また、組織損傷範囲は、滑膜で5wから25wかけて漸次、組織損傷範囲が増加するのに対し関節軟骨、半月板ではベアファイバ-の特性から全く組織損傷が観察されなかった。しかし、ベアファイバ-先端への着色などレ-ザ-エネルギ-を集積させる因子が存在した場合は、15w以上で半月板、関節軟骨に穿孔をきたす。このことから、臨床応用はSLT表示15w以下がベアファイバ-の照射条件として考慮すべきであると思われた。現在、長期での治癒経過を観察中である。尚、研究の1部は、第46回日本口腔科学会総会(名古屋)にて発表する。
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