研究概要 |
1.東京都内高校生の顎関節症の発症頻度とその徴候について 思春期は顎関節症の初発期であり,顎関節症の予防を考えるためには非常に重要な時期である。この研究は,同一の検査者ならびに方法により,東京都と鹿児島市の社会状況の違う地域を調査し,地域特性と時間差を把握し,予防学的対応に必要な資料を得る目的で行われた。平成3年度は東京都内の高校生についての疫学調査の結果を行った。研究対象は,東京都内にある私立成蹊高校,都立戸山高校,都立小石川工業高校,都立市ケ谷商業高校の4校の男女合計で1342名である。顎関節症の発症頻度は,男子15.7%,女子19.4%であった。学校別ではほぼ男女同等で共学である私立成蹊高等学校では,男子13.9%,女子18.2%であった。また,男女共学である都立戸山高等学校は男子15.3%,女子16.3%であった。男子が多数を占めている都立小石川工業高校では男子17.6%,女子が多数を占める都立市ケ谷商業高校では22.8%であった。共学校と比較して,男女とも高頻度を示したが統計的有意差は認められなかった。一般集団を対象とした顎関節症の発現頻度を,7年前鹿児島市で同様の方法で小椋らのグル-プが調査した結果と比較すると,発現頻度は今回17.4%,前回が12.9%で若干今回が高頻度を示した。さらに男女別では男女差がなく,それぞれ12.5%と11.6%であったが今回は15.7%と19.4%と女子が高頻度を示した。 2.平成4年度の鹿児島市の調査について 平成4年度に調査する鹿児島市の各高等学校の学校歯科医には,説明をすでに行い,調査をさせてくれるよう依頼した。その結果,平成4年4月8,9,10日の鹿児島県立鶴丸高等学校,平成4年4月21,22,23日に鹿児島大学附属中学校を調査することが決定している。その他の学校は現在交渉中である。
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