研究概要 |
1.平成4年度の鹿児島市の調査について 鹿児島市内小学校,中学校各1校,高等学校4校の生徒2245名を対象に,顎関節症の発症頻度,ならびにその徴候の発現頻度と分布,および徴候形態について調査し,8年前鹿児島大学のグループが行った同様な調査と比較検討した結果,以下のような結果を得た。 (1)鹿児島市の顎関節症の発症頻度は,8年前の発症頻度と比較して統計学的に有為差を認め増加していた。 (2)発症頻度の増加は男女差を認め,特に女子で著しく増加していた。(3)顎関節症の徴候形態分布から,複合徴候の分布頻度の増加傾向が認められ,単独徴候分布における疼痛ならびに開口障害の増加傾向,さらに,複合徴候における開口障害関連複合徴候の増加傾向などから,重症化傾向にあることも示された。 2.東京都と鹿児島市における若年者の顎関節症の発症頻度とその徴候の比較について 東京都と鹿児島市の中学生,高校生の一般集団を4604名を対象として顎関節症の発症頻度と地域差を検討し,以下の結果を得た。 (1)中学生では男女とも鹿児島市が東京都と比較して顎関節症の発症は高頻度を示した。しかし,統計的な有為差は認められなかった。 (2)東京都と鹿児島市の高校生の顎関節症の発症頻度は男女とも同程度であり,地域差はないと考えられた。 (3)東京都と鹿児島市の中学生,高校生の顎関節症の発症頻度はともに男女差があり,女子の値が高頻度を示した。特に東京都,鹿児島市ともに女子の多い高校の顎関節症の発症頻度が最も高かった。しかし,統計的な有為差は認められなかった。 (4)東京都,鹿児島市の中学生,高校生ともに単独徴候が最も多かったが,複合徴候は両地域とも男子と比較して女子が多かった。
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