研究概要 |
1.矯正的歯の移動に及ぼす活性型ビタモンD_3の局所投与の影響について(山本、中川、川上)ー1α,25(OH)_2D_3の局所投与時の歯槽骨の吸収及び形成を骨形態計測により定量的に把握し、歯の移動量と矯正力の大きさとの相互関係を検討した。その一部はJoural of Dental Researchに投稿した。さらに、成人の矯正患者の中で、矯正的歯の移動の困難な場合が臨床上見られることがある。そこでこのような患者に1,25(OH)_2D_3局所投与が効果を及ぼすか否かを実験的に検討するため、老齢ラット(28週齢)と幼若ラット(7週齢)を用い、矯正的歯の移動に及ぼす1,25(OH)_2D_3の影響を比較した。子その結果老齢ラットにはより著しい1,25(OH)_2D_3の効果が認められ、矯正臨床上、1,25(OH)_2D_3の有効性がうかがわれた。 1,25(OH)_2D_3による歯の移動促進効果と歯根吸収についての関係は今後も引続き検討していく予定である。また、Bisphosphonateなどの骨吸収抑制因子の歯の移動及び歯根吸収に対する影響を検討中である。今後、このような骨吸収抑制因子と活性型ビタミンD_3や他の歯の移動促進因子との併用効果を調べることにより、歯根吸収の抑制をはかって歯の移動のみ促進する条件を見いだしたい。 2.代謝性骨疾患モデルを用いた矯正的歯の移動時の歯槽骨の吸収、形成、及び歯根吸収に関する骨形態計測的研究(小林、相馬)ー雌ラットの卵巣摘出2週間後より骨粗鬆症が発現してくる。この時期に矯正的歯の移動を開始し、種々の矯正力で上顎右側第一大臼歯を頬側に移動させ、移動距離を計測した。上顎骨の非脱灰研磨標本を作成し、またカルセイン、テトラサイクリンの2回骨標識法による非脱灰非染色研磨切片も作成した。これらのサンプルをカラ-画像解析システムにて分析し、正常ラットとの比較を行うことによって、歯槽骨の改造機転、歯根吸収のメカニズムを検討中である。
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