研究課題/領域番号 |
02454472
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田籠 祥子 九州大学, 歯学部, 講師 (20150469)
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研究分担者 |
掘江 純司 九州大学, 歯学部, 助手 (60209286)
岩瀬 達雄 九州大学, 歯学部, 講師 (60151734)
於保 孝彦 九州大学, 歯学部, 講師 (50160940)
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キーワード | ヒトエナメル質 / 加熱処理 / レーザー照射 / 複屈折性 |
研究概要 |
レーザー照射エナメル質の構造変化を知る目的で、加熱処理およびレーザー照射エナメル質を各種溶液で処理してその光学性および浸透性の変化について検索を行った。各種温度で処理したエナメル質のうち400℃で24時間加熱処理したエナメル質は酸脱灰に対して最も高い耐性を持ち、またレーザー照射エナメル質と同様の高い正の複屈折性を示した。石炭酸フクシン、酸性フッ素リン酸溶液(APF)および石灰化液は加熱処理エナメル質には浸透しなかったが、照射エナメル質には顕著に浸透した。乳酸緩衝液で処理した場合、加熱処理エナメル質では複屈折性の変化は認められなかったが、照射エナメル質では正から負への複屈折性の変化が認められた。 APFは照射エナメル質によく浸透し、その部位は光学的等方性を示した(R層)。石炭酸フクシンは照射エナメル質のAPF処理部位には浸透しなかった。しかし、R層の下の領域は高い正の複屈折性を示しており、これは乳酸緩衝液で3時間処理した後、低い負の複屈折性に変化した。また、この時点でR層の表面には軽度の脱灰が認められた。 これらの結果よりレーザー照射エナメル質の構造変化は加熱処理エナメル質の変化と同様ではないことが示唆された。照射エナメル質には、瞬時に高エネルギーを与えることにより微小通路を生じており外部溶液が浸透しやすいと考えられる。しかしながら一方で、照射時の熱作用により有機質や水分が燃焼した後に微小空隙を生じているため、酸脱灰により溶出したイオンがこれらの空隙に沈着し、容易に外部溶液へ拡散、放出されないことが考えられた。
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