研究概要 |
歯周炎は歯槽骨の吸収を特徴とする疾患である。この炎症局所の骨吸収には、マクロファ-ジや多形核白血球が産生するインタ-ロイキン1(ILー1)が関与していると考えられる。そこで、歯槽骨吸収阻害剤の開発を目ざしてマクロファ-ジの培養上清からILー1インヒビタ-の精製を試みた。 マクロファ-ジ株化細胞P388D_1(1×10^6/ml)を10μg/mlのEscherichia coli K235由来のリポ多糖と72時間培養した。培養上清(8l)を1%酢酸で処理したあと、BioーGel Pー60でゲル濾過したところ、ILー1インヒビタ-活性をもつ2つのピ-クが溶出した。両ピ-クについてTGFβ活性を調べたところ、低分子量のピ-クに同活性が認められたので、高分子量ピ-クについてさらに精製を進めた。すなわち、DEAEーSepharase CLー6Bを用いたイオン交換クロマトグラフィ-、μ Band a pack C_<18>カラムやGSー510カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ-などによって精製した。その結果、GSー510カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ-によりILー1インヒビタ-は1本のタンパク質のピ-クとして溶離されたので、このピ-クを回収し、精製ILー1インヒビタ-標品とした。上述した精製ステップによりILー1インヒビタ-は629倍まで精製され、回収率は19%であった。 精製ILー1インヒビタ-のSDSーポリアクリルアミド電気泳動上での分子量は67,000、pI値は4.8であった。現在、さらに大量のILー1インヒビタ-を精製し、その生化学的および生物学的諸性状について検討中である。
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