研究概要 |
1.X線光音響顕微法の高感度,高分解能化 X線光音響顕微法を高分解能で行なうには,まだX線の集光が不完全である今,どうしても高感度化が不可欠であった。そこで,マイクロホンの高感度化,測定システムの低ノイズ化を図り,分解能を0.4mmφに改善した。更にこの条件で,Cu,Niイオンを対象とした局在を示す,K吸収端上下エネルギ-での差像イメ-ジングを可能とした。現在の検出能はCu,Niの場合10〜100μg/mm^2であった。 2.レ-ザ-光音響顕微法による組織中の蛋白分布定量 購入したHe・Neレ-ザ-を用いて,生体組織中の蛋白質(今回はガンマ-カ-蛋白の一つと言われているベンス・ジョ-ンズ蛋白質を対象とした)を,免疫学的手法で,特異的に検出できるよう染色した。定量の為には顕微下の検量線が必要であるが,これはニトロセルロ-ス上に吸着させた本蛋白質(既知量)を同一手法で染色,検出すれば得られる事がわかった。このようにして,世界で初めて,ヒト胎児すい蔵中の本蛋白質の定量像を得る事に成功した。 3.X線・レ-ザ-同時光音響顕微鏡の完成 以上の成果を基に,2つの窓(X線,レ-ザ-光)を持つ,X線・レ-ザ-同時光音響顕微鏡を完成させ,現在その基本性能を測定中である。 4付帯的展開ービデオ顕微鏡分析法の開発ー 研究中,X線およびレ-ザ-照射点をモニタ-する為にビデオカメラを利用していた時,まっ暗の中でもX線照射の際発光する事がわかり,この現象を画像解析に利用できないか検討して来た。この新発見を機にビデオ顕微鏡では,生きたまゝの細胞の動態が,リアルタイムで解明できる事がわかり,本手法も今後の大きな可能性を持っている事が判明した。
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