研究概要 |
MACIFのゲノム遺伝子の構造解析の最終段階として,第1エクソンのクローニングを試みた.昨年度の研究経過から,第1エクソンのクローニングに失敗している原因が明確になった.まず第一に,第2エクソンから上流12kbまでを含むゲノムクローンを既に得ており,他の通常の遺伝子のように,この中に第1エクソンが含まれているはずと,楽観していたこと.第二に,第1エクソンのクローニングに用いるmRNAの情報を25塩基長しかもたず,この長さの合成オリゴマーをプローブとしてクローニングせざるを得なかった.そのために陽性クローン中に明確に第1エクソンを含むという自信のもてるデータが得られなかった. そこで本年度は,5'上流非翻訳部位のもっと長いcDNAクローンを得ることをまず試みた.そして37塩基長いものを得ることに成功した.結局,第1エクソンのクローニング用プローブとして62塩基長のものが使用できるようになり,このプローブを用いて,第2エクソンの上流12kbには第1エクソンが含まれないことを決定した.そして新たに62塩基長プローブを用いてクローニングをやり直し,第1エクソンを含む可能性の高いゲノムクローンを得ることに成功した. この研究段階に達した時点で,MACIFのゲノム構造に関する報告が2つ相次いで発表された(1992年10月と12月).これらの結果は,我々が既に決定していた第2エクソン以降の結果とは同一であった.しかし第1エクソンについては異なっており,米国グループの報告では第2エクソンの2.5kb上流にあるという結果を示している.英国グループの報告では第1と第2エクソン間は35kb以上離れており,まだオーバーラップには成功していない.
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