研究課題/領域番号 |
02454489
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
花岡 文雄 理化学研究所, 放射線生物学研究室, 主任研究員 (50012670)
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研究分担者 |
菅澤 薫 理化学研究所, 放射線生物学研究室, 研究員 (70202124)
宮沢 宏 理化学研究所, 放射線生物学研究室, 研究員 (40183967)
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キーワード | SV40DNA / 無細胞複製系 / ミニ染色体 / ヌクレオソ-ム / ス-パ-ヘリックス |
研究概要 |
我々が既に確立しているSV40ウイルスのミニ染色体無細胞複型系を発展され、精製蛋白質による複製系を確立した。この系はSV40感染CVー1細胞より調製したウイルス染色体を鋳型とし、これにバキュロウイルスベクタ-系で作らせたSV40のラ-ジT抗原と、HeLa細胞より精製したDNAポリメラ-ゼα・プライマ-ゼ複合体、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラ-ゼδ、PCNA、アクチベ-タ-I、DNAトポインソメラ-ゼI、IIから成る。複製は本来の開始点より両方向に進行し、DNA鎖の伸長速度は毎分約250ヌクレオチドと細胞内の速度に匹敵するものであった。複製されたDNAの少なくとも一部はヌクレオソ-ム構造をとったいることが、ミクロコッカル・ヌクレア-ゼ処理によって示された。このヌクレオソ-ム構造をとっていることが、ミクロコッカル・ヌクレア-ゼ処理によって示された。このヌクレオソ-ム形成反応は反応系に過剰量のpBR322のDNAを添加しても阻害されないことから、親鎖DNAに結合していたヒストンは複製時にも遊離しないことが示唆された。ミクロコッカル・ヌクレア-ゼに耐性の新生DNAを、SV40DNAの初期および後期転写領域のリディング鎖とラギング鎖にハイブリダイズさせる実験では、親鎖DNAに結合していたヒストンはリ-ディング、ラギングの両鎖はほぼランダムに分布した。さらに複製されたDNAのス-パ-ヘリックス密度の測定により、ヌクレオソ-ム形成の度合いを調べたところ、SV40染色体を精製蛋白質によって複製させた場合には、予想通り、裸のDNAと鋳型染色体の中間のsuperhelicityが観察された。一方、HeLa細胞粗抽出液を用いて新たなヒストンが供給されるような条件で複製させたSV40染色体は、鋳型染色体とほとんど同程度のス-パ-ヘリックス形成を示した。裸のSV40DNAを粗抽出液中で複製させた場合には、より低いsuperhelicityを示す産物が多く見られたことから、複製後のクロマチン構造の形成に親鎖ヒストンが重要な役割を果たしていることが示唆された。
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