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1991 年度 実績報告書

生体膜の動的微細構造の変化と細胞・器官の機能に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02454490
研究機関北海道大学

研究代表者

小山 富康  北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (50001681)

研究分担者 荒磯 恒久  北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (30151145)
キーワードナノ秒時間分解蛍光計 / 心筋ミトコンドリア / 酸化ストレス / 過労 / 筋小胞体 / 燐脂質 / Ca^<2+>-ATPase / 分子内振動
研究概要

ナノ秒時間分解蛍光計を用い、生体膜に親和性の高い蛍光分子をプロ-ブとして生体膜の動的微細構造に関する研究が以下のように進行した。
(1)心筋ミトコンドリア(MT)に及ぼす酸化ストレスの影響。心筋を破砕して定法によって採取したMT浮遊液に鉄イオン、NADPH、ADPを加えて孵置すると膜粘性は増加、隣脂質揺動角は減少という微細構造の劣化が生ずること、抗酸化剤はこの変化を抑制することを確かめた(Jap.Heart.J)。(2)長時間運動の影響。長時間の連続運動はラット心筋のMTの燐脂質を強く減少させた。しかし意外なことに動的微細構造に対する影響は現われなかった。これは燐脂質とともにコレステロ-ルも減少するので両者の比率が変わらないことによると推定された(Life Science)。いずれにせよ過労が生体膜の組成に対しこのように大きな影響を与えることはきわめて意味が大きい。(3)酵素蛋白の活性と分子内振動。筋細胞内カルシュウムの調節を司る筋小胞体ベシクル(SR)についてそのCa^<2+>ーATPase蛋白に蛍光分子ANMを結合させておくと、時間分解蛍光法によって分子内振動の変化を測定することができる。SRについて燐脂質の置換を施し、かつATPase活性を測定すれば、蛋白を保持する脂質層の性質が酵素蛋白の分子内振動と活性に及ぼす影響を明らかにすることが出来る。SRの燐脂質を炭素鎖の短いdi(12:0)PCで置換すると脂質二重層の粘性は減じ、燐脂質分子の揺動角も増大した。同時にANM蛍光の異方性減少速度が著明に増加し、ATPaseの分子内振動が大幅に増大する事が明かとなった。同時に活性は低下していた。すなわちATPase蛋白の疎水性部分を保持する地盤とも云うべき燐脂質が短くなると蛋白の三次構造は乱れ分子内振動が増大するとともに活性が低下するとみられる。このような現象がラット心筋のSRにおいて(J.Appl.Cardiol.)また家兎骨格筋のSR(北海道医学雑誌)においても確認された。不飽和脂肪酸をもった燐脂質の影響を調べる目的でdi(20:4)PCで置換した心筋SRにおいても同様な成績が得られている(Jap.Heart J.投稿中)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Koyama T.;Zhu Hー,Y.;Kinjo M.;Araiso T.: "protective effects of idebenone against altervations in dynamic microstructure induced by lipid peroxidation in rat cardiac mitochondria" Japanese Heart Journal. 32. 91-100 (1991)

  • [文献書誌] Koyama T.;Zhu Hー,Y.;Araiso T.: "Effect of phospholipids on function of dynamic microstructure of the phosphorylation domain of sarcoplasmic reticulum from rat cardiac muscle" Journal of Applied Cardiology. 6. 229-239 (1991)

  • [文献書誌] Keatisuwan W.;Kinjo M.;Koyama T.: "Changes in phospholipid constituents in mitochondrial membranes after long lasting exercise in rat heart" Life Sciences. 48. 2173-2181 (1991)

  • [文献書誌] 朱 明晏: "家兎・骨格筋筋小胞体のCa^<2+>-ATPase分子内振動に及ぼす燐脂質の影響" 北海道医学雑誌. (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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