研究概要 |
本年度の研究計画は、(1)オピオイド物質の高感度検出システムの確立と(2)予備実験としてコントロ-ル(脳内自己刺激を行わない)条件下でのド-パミン系とオピエ-ト系との相互作用の有無についての基礎デ-タを収集することであった。このうち,(1)については,バイオプテリン検出用に開発した杉本ら(T.Sugimoto et al,Anal.Biochemy1990,印刷中)の酵素免疫測定法を応用してメチオニンエンケファリンに関する簡便かつ高感度な分析システムを確立するための予備実験を行った。しかし,現段階では,われわれの酵素免疫測定法による最小検出感度は100pgのオ-ダ-に留っている。オピオイド物質(エンケファリン)の細胞外濃度の基礎値は,1〜2pg/sample(線条体;N.T.Maidment et al,Neuroscience,33:549ー557,1989)から15〜25pg/sample(視床下部;K.M.Kendrick,J.Neurosci Methy34:35ー46,1990)である。したがって,この数pgから数10pgの基礎値を安定して検出するためには,われわれの測定システムの最小検出感度はさらに10倍以上改善される必要があろう。最近,小崎ら(Y.Kozaki and T.Kumazawa,Env.Med.,34:101ー104,1990)は、酵素免疫測定法を用いたメチオニンエンケァリンの検出感度は0.5pgまで上げることが可能であることを報告している。したがって,より精製された抗体と超高感度発色液の使用などによって,われわれのエンケファリン測定システムの高感度化は十分期待できる。(2)については,予備的な研究で,オピオイドアゴニストの未梢投与によってラット側坐核ド-パミンの細胞外濃度が増加することを確かめた。オピオイドアンタゴニストのド-パミンに対する解果は現在検討中である。
|