平成2年度は、(1)染色体顕微鏡切断・微量DNAクロ-ニング法の改良を以下のように行った。(1)染色体の短時間固定および迅速分染、(2)切断片の乾燥状態集積と微量DNA抽出法の導入、(3)制限酵素Sau3AIの採用による染色体DNA消化、(4)リンカ-・プライマ-法によるPCR導入、(5)psoralenー紫外線照射法の開発による汚染DNA混入防止法の採用。(2)顕微鏡切断由来プロ-ブによる染色体彩色法の確立 種々の染色体の切断・抽出DNAをPCRで増幅し、その産物全体をビオチンでラベルしてプロ-ブとし、ヒトゲノムDNAを競合物とした蛍光in situ hybridization(FISH)をった。切断した染色体あるいは切断領域由来のプロ-ブは当該染色体/領域に蛍光シグナル(彩色)を示した。この方法は種々の常染色体構造異常や由来不明マ-カ-染色体の同定に利用することができる。 平成3年度は、(3)種々の染色体領域DNAライブラリ-の作製とその性格づけを行った。主として8q23ーq24部分[毛髪・鼻・指節症候群(TRPS)遺伝子を含む]と、2q33ーqter部分(Waardenburg症候群遺伝子を含む)を切断しクロ-ニングを行った。得たクロ-ンを選択し種々の雑種細胞パネル及び染色体欠失をもつ患者DNAを用いたサザン解析を行った。また、当該領域クロ-ンをファ-ジライブラリ-を2次的にスクリ-ニングし、ファ-ジクロ-ンを取得し、FISH法でマッピングを行った。結果は、約15%がユニ-ク配列であった。8q23ーq24部分からは8個の患者欠失部位に相当するクロ-ンを得、TRPSの解析に有効である。2q33ーqterからは2個のファ-ジクロ-ンを取得し、それぞれ2q35と2q36にマップされたのでWaardenburg症候群の解析に有用である。
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