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1990 年度 実績報告書

脳機能改善薬の海馬における作用メカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 02454496
研究機関京都大学

研究代表者

倉石 泰  京都大学, 薬学部, 助教授 (80111970)

キーワード脳機能改善薬 / 海馬 / 苔状線維 / CA3 / シナプトソ-ム / Cキナ-ゼ / グルタミン酸 / ビフェメラン結合部位
研究概要

海馬は記憶・学習と関係の深い部位である。特に、歯状回の顆粒細胞から伸びる苔状線維とCA3錐体細胞とのシナプスは、種々の脳機能改善薬や健忘作用を有する薬物に感受性が高い。本研究では、苔状線維ーCA3シナプスにおける脳機能改善薬の薬理作用機序の解明の一端として次の3点について明らかにした。(1)苔状線維終末からのグルタミン酸の遊離:モルモット海馬から苔状線維終末を豊富に含むシナプトソ-ム画分を作製した。電子顕微鏡による観察から、この画分には通常のP2画分に見られるシナプトソ-ムより大きくシナプス小胞を密に含んだシナプトソ-ムが存在することを確認した。また、海馬の苔状線維には亜鉛およびダイノルフィンが高濃度存在するが、苔状線維シナプトソ-ム画分は亜鉛およびダイノルフィンの濃度がP2画分よりも高かった。脳機能改善作用を有するビフェメランは、苔状線維シナプトソ-ムからのK^+イオンによる脱分極性のグルタミン酸遊離量を増大し、P2画分からのグルタミン酸遊離量には影響しなかった。(2)モルモット海馬におけるCキナ-ゼの細胞下分布:ビフェメランをモルモット海馬の切片に適用すると、CA3領域においてCキナ-ゼの細胞質から細胞膜へのトランスロケ-ションを惹起したが、CA1領域においてはそのような作用は観察されなかった。また、モルモット海馬から作製した苔状線維シナプトソ-ムでもビフェメランによるCキナゼのトランスロケ-ションが観察されたが、P2画分ではCキナ-ゼの細胞下分布に変化はなかった。
(3)海馬におけるビフェメラン結合部位:モルモット海馬のシナプス膜標本における、〔 ^3H〕DAMGO、〔 ^3H〕U69593および〔 ^3H〕QNBの結合に対して、ビフェメランは100 _nMでは抑制しなかった。CA3領域における〔 ^3H〕ビフェメラン結合部位は、CA1領域におけるよりも有意に多かった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Fujii,T.,Kuraishi,Y.,Okada,T.and Satoh,M.: "Bifemelane induces translocation of protein kinase C in the CA3,but not CA1,region of guineaーpig hippocampus." Can.J.Physiol.Pharmacol.68. 413-418 (1990)

  • [文献書誌] Ueda,M.,Kuraishi,Y.,Fujii,T.and Satoh,M.: "Bifemelane induces translocation of protein kinase C in and enhances the release of glutamate from the mossy fiber synaptosomes of guineaーpig hippocanpus." Neuropharmacology.

  • [文献書誌] Fujii,T.,Kuraishi,Y.,Ueda,M.and Satoh,M.: "Characterization of bifemelane binding sites in the guineaーpig hippocampus." Eur.J.Pharmacol.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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