研究概要 |
1。グルタミン酸遊離:モルモット苔状線維シナプトソ-ムからの高濃度K^+により誘発されるグルタミン酸遊離は,ビフェメランにより増加するが,イデベノンでは影響を受けなかった。また,Cキナ-ゼを活性化するホルボ-ルエステルが苔状線維シナプトソ-ムからの高濃度K^+によるグルタミン酸遊離量を増加し,プロテインキナ-ゼ阻害薬Hー7がビフェメランとホルボ-ルエステルのグルタミン酸誘発遊離に対する増加作用を共に抑制した。昨年度の結果と合わせて考えると,ビフェメランが苔状線維終末に直接作用して脱分極誘発のグルタミン酸遊離を増加させ,この作用には少なくとも一部苔状線維終末におけるCキナ-ゼの活性化が関与しているものと推定される。 2。ビフェメラン結合部位:モルモット海馬の膜標品に対する〔 ^3H〕ビフェメランの結合は,可逆的であり,見かけ上親和性の異なる少なくとも2つの結合部位からなっていた。しかし,モノアミン取込み阻害作用を有するイミプラミンが〔^3H〕ビフェメラン結合を抑制し,イミプラミン(1μM)存在下では,〔 ^3H〕ビフエメラン結合が見かけ上高親和性部位(Kd=5.8nM)のみとなった。〔 ^3H〕ビフェメラン(1nM)結合は,ビフェメラン(IC_<50>=4.4nM)で用量依存性に抑制されたが,イデベノン,ピラセタム,ビンポセチン,インデロキサジンおよびホパンテン酸カルシウムでは0.1nMー1μMの濃度範囲で抑制されなかった。 3。セカンドメッセンジャ-系:ビフェメランは,苔状線維シナプトソ-ムのIP_3濃度を用量依存的に増加させ,通常のP2シナプトソ-ム画分では無効であった。海馬切片に作用させた場合,CA3と歯状回でIP_3濃度を用量依存的に増加させる傾向が見られたが,CAlでは影響しなかった。いずれの標本でもビフェメランはcAMP濃度には明かな影響を及ぼさなかった。
|