研究概要 |
魚脂に豊富に含まれるWー3系多価不飽和脂肺酸の一種であるエイコサペンタエン酸(EPA)には抗血栓抗動脈硬化作用があることは数多くの内外の研究発表からよく知られていることである。動脈硬化病巣の特徴的な病理所見の一つとして流血中の単球が血管壁中に浸入し脂質の貧食して泡沫細胞化して決着する現象があげられる。抗動脈硬化作用を有するといわれているEPAが単球の泡沫細胞化を抑制する可能性が推測されるが,現在迄のところそれに関する研究報告はみられていない。 そこで我々は,ラットに高純度のEPAーethylester(EPAーE)を投与し,単球の泡沫化に及ぼす影響について検討した。 6週今の雄性ウィスタ-ラットにEPAーEを,0,100,300mg/kg1日の割り合いで4週間経口投与し,腹腟よりマクロファ-ジを調整した。細胞を24時間前培養した後,種々の濃度のアセチルLDLと共に更に24時間培養し,マクロファ-ジに蓄積されたコレステロ-ルエステルの含有量を測定した。マクロファ-ジ中のEPA含量はEPAの経口投与量に依存して有意に増加したが,逆にマクロファ-ジに蓄積されたコレステロ-ルエステルの含有量は有意に減少した。この事実はEPAに単球の泡沫胞化を抑制する作用があることを示唆しており,EPAの抗動脈硬化作用の機序で説明しうると考えられた。
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