マクロファ-ジのスカベンジャ-受容体の制御による動脈硬化予防

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02454507
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 児玉 龍彦 東京大学, 医学部(病)・第三内科, 助手 (90170266)
• 研究分担者: 松橋 信行 東京大学, 医学部(病)・第三内科, 助手 (10221590)
• キーワード: マクロファ-ジ / スカベンジャ受容体 / 泡沫細胞 / 動脈硬化 / コレステロ-ル / LDL

研究概要

1)スカベンジャ-受容体の構造を変異体をCOS細胞に発現させ各ドメインの役割を検討した。細胞質ドメインだは、11番から19番目のアミノ酸にエンドサイト-シスに重要なシグナルの存在する。コイルドコイルドメインには、リサイクルに必要な構造が存在する。
2)スカベンジャ-受容体が11個のエクソンよりなり、1ー8番目のエクソンが1型2型共通のドメインで、9番目のエクソンが2型特異、10、11番目が1型特異であることがわかり、1型、2型の受容体がスプライシングによりつくられることがわかった。人及びマウスのプロモ-タ-の配列を決定し、マウスのプロモ-タ-はTATABox構造をゆうするが、ヒトのプロモ-タ-は2つのTATAlike構造をゆうすること、フォルボルエステルによる単球からマクロファ-ジの分化にともない発現するが、TPAresponsible elementは存在しないことなどが明かとなった。
3)ウシのスカベンジャ-受容体を発現したトランスジェニックマウスの確立に成功したが発現のレベルがまだ充分でなくさら強力なプロモ-タ-にヒトのスカベンジャ-受容体をつないだトランスジェニックマウスのコンストラクトを作成しマウスに導入中である。
4)マウスの腹腔マクロファ-ジを用いたLDLの変性抑制剤のスクリ-ニング法を開発し、LDLの抗酸化作用を有する薬物のマクロファ-ジへのコレステロ-ル沈着を抑制する性質を検定することが可能となった。

研究成果

• [文献書誌] Matsumoto,A.,and et al.: "Human macrophage scavenger receptors:primary structure,expression,and localization in atherosclerotic lesions." Proc Natl Acad Sci U S A. 87(23). 9133-9137 (1990)
• [文献書誌] Naito,M.,and et al.: "Tissue Distribution,Intracellular Localization,and In Vitro Expression of Bovine Macrophage Scavenger Receptors." Am J Pathol. 139(6). (1991)
• [文献書誌] Kurihara,Y.,and et al: "Macrophage Scavenger Receptors." Current Opinion in Lipodology. 2(5). 295-300 (1991)
• [文献書誌] Hirakawa,T.,and et al.: "Massive accumulation of neutral lipids in cells conditionally transformed by an activated Hーras oncogene." Oncogene. 6(2). 289-295 (1991)
• [文献書誌] Naito,M.,and et al.: "Coexpression of Type I and Type II Human Macrophage Scavenger Receptor in Macrophages of Various Organs and Foam Cells in Atherosclerotic Lesions." Am J Pathol. (1992)
• [文献書誌] Naganawa,S.,and et al.: "Genetic Analysis of Japanese Family with Normotriglyceridemic Abetalipoproteinemia Indicates a Lack of Linkage to The Apolipoprotein B Gene." Biochem Biophys Res Commun. 182. 99-104 (1992)