研究概要 |
我々は、ブタ下垂体を用いてGHRH受容体の検討を行ってきたが、充分な検体が得られないため、ブタ下垂体と同様のGHRH結合能を認めたヒト胎盤膜を用いて以下の検討を行った。なお、昨年レセプタ-アッセイで問題となったリガンドの分解は、[DーAla2,DーAsn3]ーhGRFー29ーNH2,cyclo(Asn8ーLys2)ー[DーAla2,Asp8,ALa5]ーGRF29ーNH2などの誘導体を用いることにより解決された、またGRF(1ー44)NH2の場合でも膜分画の調製の段階よりPMSF、Leupeptin,aprotinin,EDTAの4種を加えたバッファ-を用いれば、誘導体を用いた時と同じ結果が得られることが見いだされた。 1.ヒト胎盤より膜分画を調製し、Triton Xー100,CHAPS,digitonin,cholic acidなどの各種界面活性剤で可溶化された分画と^<125>I標識GHRH誘導体を用いた結合実験では、10mM CHAPSによりGHRH結合能を有する蛋白が可溶化され、可溶化蛋白への標識GHRHの結合は非標識GHRHにより阻害された。2.膜分画と標識GHRHの架橋剤を用いたクロスリンクではSDSーPAGE上約75Kdと約55Kdの2本のバンドを認めた。3.膜分画へ標識GHRHをクロスリンクし、界面活性剤により可溶化後、非変性下の条件で行ったゲルろ過では、この蛋白は660Kd以上の高分子として溶出され、変性下の条件で行ったゲル濾過では45Kdー17Kdの間に溶出され、非変性下では凝集塊を形成していることが示唆された。4.10mM CHAPS可溶化分画のGHRHーRIAに及ぼす影響を検討では、可溶化蛋白はGHRHーRIA系における抗体と標識GHRHとの結合を阻害した。この可溶化蛋白のうち75Kdの蛋白を陰イオン交換体(DEAE)とRedmatrix gelを用いて単一なバンドとして精製することに成功した。現在、この蛋白のアミノ酸配列の決定を行っている。今後、55Kdの蛋白の精製とそのアミノ酸配列の決定の後、cDNAのクロ-ニングを予定している。
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