研究概要 |
(1)日本人IDDMと正に関連するクラスII alleleはDR4ーDw15(DRB1^*0405),DR9;DQA1^*0301;DQB1^*0303,DQB1^*0401であり、ハプロタイプとしてはDRB1^*0405ーDQA1^*0301ーDQB1^*0401(RR4.4),DRw8ーDQA1^*0301ーDQB1^*0302(RP9.7),DR9ーDQA1^*0301ーDQB1^*0303(RR2.2)であった。genotypeとしては[DRB1^10405ーDQA1^*0301ーDQB1^*0401]/[DRw8ーDQA1^*0301ーDQB1^*0 302]が最も相対危険率が高かった(RR=18.2)。 (2)IDDM複数発症家系(兄弟発症4家系、親子発症3家系)について、HLAタイピングを行った。親子発症例では2家系がDRB1^*0405ーDQA1^*0301ーDQB1^*0401を共有していた。1家系は抵抗性とされるDR2ーDQA1^*0103ーDQB1^*0601を共有していた。兄弟発症例では3家系は2つのハプロタイプが同一であり(DRB1^*0405ーDQA1^*0301ーDQB1^*0401のhomo、DRB1^*0901ーDQA1^*0301ーDQB1^*0303のhomoおよび[DRB1^*0403ーDQA1^*0301ーDQB1^*0302]/[DRB1^*0405ーDQA1^*0301ーDQB1^*0401])、1家系はDRB1^*0405ーDQA1^*0301ーDQB1^*0302のみを共有していたがこのハプロタイプは通常では稀でありIDDM発症感受性を有するDRB1^*0405とDQB1^*0302を両方有している点興味深い。 (3)HLAと臨床像との関連について検討した。性別、発症年齢(20歳未満と以上)でHLAに差は見られなかった。食後あるいは負荷後の血中CPR値によりインスリン枯渇群と残存群に分けると、DR9,DQA1^*0301(p〈0.05),DQB1^*0303が枯渇群に多くDRB1^*0405,DRw8,DQA1^*0401(p〈0.005),DQB1^*0402が残存群に多かった。甲状腺自己抗体陽性でDRB1^*0405,DRW13,DQA1^*0102,DQB1^*0604が少なく、DR9,DQB1^*0303が多い傾向が見られた。DRB1^*0405のみを有する例とDR9のみを有する例での比較では、後者で枯渇例が多く(P〈0.05)、甲状腺自己抗体陽性例が多い傾向が見られた。以上からHLAタイプにより臨床像が相違することが示唆された。
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