研究概要 |
1.変性LDLの血小板機能への影響 高脂血症患者のLDLは血中にて種々の修飾を受け,動脈硬化の引金になっている。内皮修飾LDLのヒト血管内皮細胞とLDLを37℃,24h培養し,その培養上清より回収し以下の結果を得た。 (1)^<125>-変性LDLのヒト血小板への結合様式はnativeと比較し,kd,Vmaxともに有意な差を認めなかった。 (2)変性LDLは,血小板凝集,放出をdose-dependentに抑制した。 (3)酸化脂質であるリゾレシチンは血小板凝集,放出をdose-dependentに抑制した。このリゾレシチンはnativeのものに比べこの変性LDLに有意に増加していた。 2.apoEの血小板機能抑制機序の解明 (1)apoEは等電点電気泳動の移動度の違いで主に3つのisoformに分けられる。正常人は普通E3/3型であるが(高脂血症患者でE2/2型がみられることがあり,我々の使用したコンビナントapoEはE3/3である),このisoformの違いとHDLの抑制作用との間に相関が有るか否かを正常人および患者血清よりHDL fractionを調整して調べた。この実験は,現在も進行中であるが,preliminaryにはisoformの違いによるHDL抑制作用に差はみられないようである。 (2)我々は先にapoE・DMPC liposomeがcholesterolを細胞膜より引き抜く作用を持つことを示した。今回cholesterolを種々の比率で組み入れたliposomeを作成し,血小板機能抑制作用,cholesterol引き抜き作用が如何に変化するかを観察した。リン脂質,コレステロール比が増加すると引き抜き作用も増大した。
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